海外で活躍する日本人もどんどん増えている中、音楽とくにジャズに関しては本場であるニューヨークで学んだり成功しているアーティストも目立っています。
そんな中で2020年10月6日に衝撃的な事件が起きました。
日本人ジャズピアニストがニューヨーク市の地下鉄駅構内で暴行を受ける事件が発生したとのことです。
コロナ禍で治安が悪化しているというニューヨークには、有名な日本人ジャズピアニストも活躍しています。
元シンガーソングライター
日本武道館でもライブ
1983年にシンガーソングライターとしてデビューした、大江千里さん。
自身も「十人十色」「恰好悪いふられ方」など数々のヒットソングを飛ばし、アイドルへの楽曲提供などでも有名になりました。
楽曲提供やプロデュースを行ったのは、松田聖子さん・光GENJI・渡辺美里さんなど多数です。
イケメンでかわいい印象のルックスで俳優としても映画やドラマに出演し、人気を博しました。
べっ甲縁の眼鏡が印象的で日本中で大江千里さんと同じ、べっ甲縁の眼鏡をかけることが大流行しています。
明るくさわやかな性格で司会やラジオのパーソナリティなどでも活躍し、エッセイの執筆など多彩な才能の持ち主です。
日本の音楽界で確固たる地位にいた大江千里さんですが、2008年に日本での音楽活動を休止しました。
ジャズへの転向
大江千里さんはシンガーソングライターとして活躍していた際も、ピアノやキーボードを使って歌うというスタイルでした。
3歳からクラシックピアノを習っていた大江千里さんが日本での音楽活動を休止したのは、ラブソングが年々書けなくなっていった苦悩の中、10代の頃からあこがれていたジャズピアニストになることを決意。
なんと47歳での決断でした。
2008年にはニューヨークに居を構え、ジャズの学校「The New School for Jazz and Contemporary」に入学しています。
2012年に同校を卒業し7月31日にジャズピアニストとしてデビュー、アルバム「Boys Mature Slow」を世界で販売しています。
その後ニューヨーク日本人ジャズピアニストとして高い評価を受けた大江千里さんは、2020年「コロナ禍で作られた40曲」の中に4月に発表した「Togetherness」が選ばれるなど注目を浴びています。
大江千里さんのニューヨークでの生活について、2020年10月6日に遠距離インタビューのツイートも投稿されています。
NYで最も有名な日本人ジャズピアニスト
日本での成功を捨てて渡米
ニューヨークで最も有名なジャズピアニストと高く評価されているのが、海野雅威さんです。
日本のジャズシーンの中では先輩のバンドに所属するかたわらで自分のバンドのリーダーもしていたと言います。
海野雅威さんは日本でのジャズピアニストとしての活動が10年目になった時、「本当に自分がやりたいことは何だろう」と考える中で2006年にニューヨークを訪れる機会が2度ありました。
どちらも在米の日本人アーティストのレコーディングへの参加でしたが、この時の体験からニューヨークというジャズの本場での活動が視野に入ります。
知り合いや仕事もほとんどいない、貯金は少しあるがいつまでもつか分からない中で妻が「行きましょう」と背中を押してくれたそうです。
2008年に渡米しニューヨークでジャズピアニストとして活動を開始します。
そんな妻にいつも海野雅威さんは感謝しているとインタビューで答えています。
海野雅威さんの実力はニューヨークのジャズ界でも認められ、多くのアーティストとの親交も深くなっていきます。
伝説のハンク・ジョーンズの最後の愛弟子と言われる海野雅威さんの感性はどんどん高まっていきました。
コロナ禍のでの不運
2020年10月5日に判明したという海野雅威さんが巻き込まれた暴行事件ですが、共同通信の報道と海野雅威さんと直接インタビューを行ってきたクーリエ・ジャポンの発表にはズレがあります。
共同通信
【ニューヨーク共同】米国を拠点に活動する日本人ジャズピアニストの海野雅威さん(40)が、ニューヨーク市の地下鉄駅構内で若者グループに暴行され、右肩と腕の骨が折れるなど重傷を負ったことが5日、分かった。演奏復帰のめどは立っていない。新型コロナウイルス感染拡大による社会不安や景気低迷で、同市は治安が悪化している。
海野さんによると、仕事から1人で帰宅中の9月27日夜、市中心部マンハッタンの駅ホームでたむろしていた男女8人ほどのグループから「体が触れた」と言い掛かりを付けられ、袋だたきに遭った。救急搬送され治療を受け、手術が必要になる可能性もあるという。
共同通信
この報道によると海野雅威さんはニューヨーク市の地下鉄駅構内で、暴行を受けたとされています。
クーリエ・ジャポン
【2020.10.05 10:00追記】本記事で紹介したジャズピアニスト、海野雅威さんが2020年9月27日、ニューヨークの自宅のそばで8人の暴漢に襲われ、大怪我に遭いました。鎖骨を骨折しており、現在はピアノを弾くこともできません。
米国のクラウドファンディングサイト「GoFundMe」では知人の音楽家が海野さんへの支援を募っています。多くの人にこの事実が伝わることを願って、本記事を無料で公開します。
【2020.10.05 19:30追記】目標金額に到達したため、現在はGoFundMeでの寄付の受付は終了し、シェアのみになっています。この記事をシェアしてくださった読者の皆さまに感謝申し上げます。
こちらでは地下鉄駅構内ではなく、自宅のそばで暴漢に襲われたとなっています。
他のミュージシャンも海野雅威さんのクラウドファンディングへの協力を求めており、上記にある通り目標額に達したとのことです。
クラウドファンディングで集まったのは1日で900万円超だったそうです。
海野雅威さんの一日も早い回復と愛するジャズピアノの演奏ができる日が待たれます。
地下鉄の利用
海野雅威さんはニューヨークでの生活で、日々地下鉄を利用していました。
もちろん決して無防備ではなかったはずですがコロナ禍という異常事態もあり、思いがけなく事件に巻き込まれてしまったようです。
クーリエ・ジャポンのインタビューで海野雅威さんは、ニューヨークの生活と地下鉄について話しています。
──平均的な1日の生活を教えてください。たとえばライブがある日のスケジュールは?ミュージシャンは夜型人間で、NYは地下鉄が24時間動いている街ですから、夜中の1時半からライブ(ギグ)という日もあります。終わると4時で、電車の本数が少ないから家に着くと5時ごろ。それから寝て、昼ごろにのろのろと起き出して、12時とか1時に食事をとる。練習やリハーサルがある日は、2時や3時ごろに仲間や先輩の家に行きますね。2時間から3時間弾いて、一度家に戻るか直行で、次のギグに行くと。だいたい7時ごろから1本目のギグが始まります。日によってはレコーディングの仕事をしたり、友人とハングアウトしたりします。音楽のことを考えている時間が日本にいた頃よりも多くなったかもしれません。
まとめ
日本人ジャズピアニストが大好きなジャズ演奏で努力して、本場のニューヨークでの成功をつかんでいるのはとてもうれしいことです。
今回の一報を受け大江千里さんや海野雅威さん以外にも、多くの活躍する日本人ジャズピアニストやミュージシャンがいることを改めて認識しました。
もちろんそれ以外にも仕事や留学など、ニューヨークに限らず世界中で活躍したり学んでいる人がたくさんいます。
このような悲しい事件は少しでも無くなってほしいです。
海野雅威さんのご回復とコロナ禍で日本を離れて生活している方々の安全を心からお祈りいたします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント